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2009年3月20日 (金)

大阪府立国際児童文学館問題ふたたび

議会中は記事を更新しない方針でいましたが、そうもいかない状況になっています。9月度の議会で、大阪府立国際児童文学館の「当面現地存続」が全会一致で採択されましたが、知事が廃止案を強硬に2月度議会に持ち込みました。そして議会の雲行きも怪しくなっています。一度全会一致で採択したことがもしも半年もかからずに覆ることがあるとすればそれなりの理由があってしかるべきですが、そのあたりが見えません。
今年1月21日の「国際児童文学館 寄贈者・関係者等と知事との意見交換会」で知事が寄贈者および関係者に対して中央図書館移転への予算案を2月府議会に提出すると述べたことは以前に記しましたが、知事はこの時寄贈者に向かって、寄贈者の思いに反するのであれば、本をお返しするなりの対応になると思うと自ら言ったのです。移転した後に活用の方法を見ていただいて、まずいと思われれば返却はさせていただきますとも言っていますが、まず移転ありきでうまくいかなかったら返すといっても施設を廃止して建物がなくなっていれば返却された資料はいったいどうなるのでしょうか。とにかく寄贈者に対して自分の方針を繰り返すだけに終始し、保存機能を一顧だにしない発言で寄贈者関係者を怒らせました。

知事は、自治体が研究を行うなんて府民が納得しない、そういう財源があるのであれば、それを府民サービスとして、いかに子どもたちに見せるか、喜んでもらうか、もし研究員が研究したいというのであれば、大学でやってください、と
も言っていますが、研究に利用している人は研究員だけではもちろんなく日本中にいるのです。なお大阪府はちゃんと大阪府立大学という研究の場を有しておりますが、自治体が公立大学を運営していることは特に府民が納得しないことではないでしょう。
たとえば自分が生まれる十年前の子ども文化を想像するのは困難です。今の子ども文化を実際に子供のそばにいて研究する人も必要で、アーカイブは子供たちが大きくなった時に役に立つのです。

大阪府立国際児童文学館は研究施設というより資料の保存機能を担う施設であり、江戸期、明治期などの資料を死蔵させないために専門の研究者との連携も必要です。20年を超える歴史で児童文化のあらゆる領域をカヴァーしてきたという世界でも類をみない施設を当時の大阪は生み出したのであり、今世紀になって設立された施設はまだこの国際児童文学館の持つ機能にまだ及びません。いわゆる児童書の他に紙芝居から漫画といったメディア、子供の遊びや替え歌、流行などの地道な研究が積み重ねられてきました。

だから「当面現地存続」でこれからどうすべきか考える時間が必要だと思います。大阪が持つ一番の財産は大阪が育んだ個性あふれる文化であり、「児童文学」という偏見にさらされる言葉が用いられていても、大阪が育んだ文化がこれほどの施設を産んだことについてはもっと知ってほしいのです。

この件に関しては手塚治虫以前の漫画研究で大きな功績を持つ宮本大人氏や、漫画から映画について研究を行っている鷲谷花さんが奮闘しており、素性を明かしていない私よりもずっと苦労なされております。児童文学作家の方々もこの問題にコミットしています。漫画家や漫画評論家と呼ばれる人たちにこの問題を取り上げる人が見られないのは児童文学という言葉への偏見が残っているのでしょうか、いまだにそんなことがあるとすれば残念です。

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