国際児童文学館の問題について、日本マンガ学会から存続要望書が出ます。
日本マンガ学会から正式に公開するのは休み明けになるとのことですが、現在の日本のマンガ研究の先頭に立って奮闘しておられます宮本大人さんのブログで先行公開されています。
宮本さんはそれまでの戦後マンガ史の枠組みを超えて、日本の近代マンガを表象文化としてその歴史をたどる研究を精力的に進めてきました。つまりマンガの中だけで閉じるのではなく美術や文学、児童文化をめぐる状況を踏まえながら、日本のマンガ表現がどのような変遷をたどってきたのかを解明しようという本格的なアプローチを実践してこられて、往々にして愛好者の趣味と見られてきたマンガの研究をきちんと学問として認知させる役割を背負ってこられました。
その研究は一般にはまだ広く知られていないかもしれませんが、画期的な手塚治虫研究を著した夏目房之介さんや、マンガに造詣が深い編集者の方々などマンガ界からもその功績を認められています。マンガ文化研究の価値と可能性を示すことによって、大学でマンガを研究対象とする学生も増えてきました。
私自身細々と週末に個人研究をしていたところで宮本さんの研究を知っていろいろと触発されてきました。漫画を通じて昭和モダニズムから戦時の文化や社会状況についていろいろなことを知るようになってきました。その知識は現在の状況を自分なりに理解する上でもさまざまな示唆に富んでいると思っています。
正式に公開された時点で続報を掲載します。「たかがマンガ」であっても貴重な史料であることを多くの人に知ってほしいと思います。
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