「飛ぶ教室」でマンガを読みました
石井桃子さんの訃報に接し、久しぶりに書店の児童書コーナーに行ったりしていましたが、
国語の教科書で知られる光村図書から出されている「飛ぶ教室」のバックナンバーを読んでいたら、第8号(2007年冬号)にウィンザー・マッケイの「夢の国のリトル・ニモ」とフランク・キングの「ガソリン・アレイ」というアメリカの新聞マンガが数編載っていました。リトル・ニモは1905年にはじまっているとのことですが、細密な描画と奇想によってなんとも豪華です。「ガソリン・アレイ」というマンガを私は知りませんでしたが、1930年、1934年、1931年?の作品が選ばれていて、これがまた素晴らしい。1934年と記されているものは池に映る上下逆さになった風景の中を空を飛ぶように泳ぐというアイデア。1931年?かよく読み取れませんがそちらは4段3列のコマがただひとつの光景を区切っていて、おのおののコマの中で会話をしている人物たちの会話をたどりながら、なんとなくストーリーがあるような錯覚を起こすという面白い趣向となっています。ちょっと文章でうまく説明できていないかもしれませんがみればわかります。
石井桃子特集のほうは第11号(2007年秋号)となっています。昨年が生誕100年と気づかなかったのでなくなられたと知ってあわてて探してきたのですが、年表がついていて日本の近代児童文学史が一望できるようになっています。
たとえば昭和7(1932)年に菊池寛の紹介で犬養毅首相の書庫の整理をしていたことや(この年5.15事件で犬養首相が暗殺されている)、昭和15(1940)年に「熊のプーさん」を岩波書店から刊行していること、その翌年に「ドリトル先生 アフリカ行き」を井伏鱒二訳で出していて、戦後児童文学の出発点となった「ノンちゃん雲に乗る」は昭和18年頃に完成を見たらしいことなどが記されていて、あらためて戦後文化をリードした巨人の偉業を思うのでした。
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