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2006年8月24日 (木)

SWITCHのaiko特集はマンガ特集としても良いです(付:海外少女マンガ事情紹介)

昨日、雑誌SWITCHの新しい号が発売されました。新しいアルバムを同じ日にリリースしたaikoの特集にマンガの特集を絡めてまして、100冊セレクションが私の好みとけっこう合っているのがうれしい。もうひとつAGELESS COMICS 2006という特集と合わせたところもあるのでしょうが、ちょっと古いマンガでも載っていますし私が時々やるように押しつけがましい紹介はしないし、しかも私も尊敬する山下和美さんとの対談つきですよ!

(押しつけがましく付け加えると、くらもちふさこの「おばけたんご」とか冬野さほの「ポケットの中の君」とかもう十年以上前ですが今読んでも圧倒的にすばらしいし、もうぜんぜん年齢を選びません。冬野さほはデビューから読んでいましたので岡崎京子、松本大洋絡みで知ったわけではないんですが、というか親友だった安野モヨコさんと同じくらいにデビューしてそのへん全部読んでたので当時自分はこんな細かいところまで少女まんがに詳しいんだろと思っていましたけど、岡崎さんが絶賛したこともあってか冬野さんが現在ほとんど描いていないことを考えると今でも新刊で手に入るのは良いことです)

ポケットの中の君 Book ポケットの中の君

著者:冬野 さほ
販売元:集英社
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aiko, Cocco, UAの存在は私が日本のポップを聴く上で今でも別格なんですが、雑誌bridgeがCoccoのインタビューを掲載していて、悔しいけど渋谷陽一はインタビューがうまいよ、とか思いましたが(しまいのほうは渋谷節が出過ぎてイマイチでしたが、渋谷さんのFM番組で育ったので昔は洋楽の紹介者として信奉してました。ピーター・バラカンさんなんかが出てきてもっと紹介する音楽のレンジが広かったので乗り換えちゃいましたが)、aikoさんの特集もSWITCHという雑誌自体がCoccoやUAの特集号を出しているような傾向なので、興味深く読ませていただきました。

aikoさんの歌詞の世界は失恋の歌がやたら多かったり、微妙にセカイ系的なものに通じる面もあって(世界が終わってしまったらとかなくなってしまっても とか、たびたび歌詞に出てくるんですね)、でもやはり女性視線だから似て非なるものではあるのですが、今回のSWITCHはナイス特集でした。それにして も最近の女性はみんな30代になるくらいで若さとは違ういい顔になるんだよな。

なんといっても音楽がめちゃめちゃ好きだというのが曲を聴いてるとビリビリするほど伝わるのがすごくいいんですね。そのへんは本当に信頼しているので、マンガのセレクションも、表現や歌詞のイメージともよく対応がとれていて、しかも私が尊敬するほど好きでもほとんどまともに紹介された試しのない作家の作品とかが選ばれていたりするし!驚いたのは椹木野衣さんが岡崎京子の後継者と絶賛しながらまるで話題にならなかった(いやこれは売れないでしょう確かに)「BABYいびつ」とかちゃんとaikoさんがコメントまでつけているし!

SWITCHの新しい号は今見たらAmazonではどうやら売り切れてしまっているのでアフィリエイトが載せられませんが、SWITCHのサイトでの最新号紹介と、aikoさんの新譜は大きめにして、あとマンガと関係ないですがbridgeのほうを載せときます。

彼女 Music 彼女

アーティスト:aiko
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/08/23
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Cut 増刊 bridge (ブリッジ) 2006年 08月号 [雑誌] Book Cut 増刊 bridge (ブリッジ) 2006年 08月号 [雑誌]

販売元:ロッキング・オン
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STUDIO VOICEも最新号がマンガ特集なので一応。比較してみるのも一興ですか。ヤマダトモコさんが出ていますが、ぜひもっと活躍していただきたいものです。

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 09月号 [雑誌] Book STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 09月号 [雑誌]

販売元:INFASパブリケーションズ
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最後に、集英社のサイトで、藤本由香里さんによるアメリカ少女マンガ報告(リンク先参照)という特集が組まれています。集英社メインページからたどれないって、いったいどうなっているのと思いましたが、ここからリンクしておきますので海外マンガ事情を知りたい人はぜひごらんください。

なお記事はPDF形式なのでWindowsだとAcrobat Readerをネット経由でインストールする必要がありますがページを参照のこと。

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紀伊国屋画廊であすなひろしと高橋真琴の展示

おとといはPR誌の「ちくま」を探しに職場から遠く離れた新宿まで行ってしまいましたが、ジュンク堂新宿店には置いてなかったものの毎日新聞がフリーペーパーで出している「まんたんブロード」が3ヶ月分手に入って、「ちくま」は紀伊国屋書店には残っていました。昔は連載を読むのに手に入れ損ねたら、売っている店を覚えているのでそこに行って買ったりもしたんですけど、その店も改装されてから置かなくなったようで(単に売り切れていたのか?)、やっぱり発行日をチェックしないといけません。

大島弓子さんの連載まんが グーグーだって猫である〈2〉 が載っている角川の「本の旅人」を1年くらい前から途絶えさせてしまいまして、きっと単行本がでるよな、と開き直ってしまいましたが。しかしまんたんブロードのほうは萌え全開なんやねえ。

ところで学生が夏休みのせいか紀伊国屋書店でマンガ関連のフェアをけっこうやっておりますね。
8月26日から新宿本店の紀伊国屋画廊で、原画'(ダッシュ)展が開催されまして、なんの因果か高橋真琴あすなひろしの組み合わせです。

原画そのものがものすごく手が込んでいるといえば、この二人は間違いなく双璧ですから。念のため井上雄彦とか松本大洋とか突っ込みを入れないでくださいね。

あすなひろしはホワイトを使わずに白は塗らずに残すんですから。

トーンを使わずにペンのカケアミでとんでもなく繊細なグラデーションを描くのですから。

二人一緒に見られてこれはお得ですってば。

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2006年8月19日 (土)

文化庁メディア芸術祭10周年企画の「日本のメディア芸術100選」アンケートからマンガ10作を選ぶ

文化庁メディア芸術祭が10周年を記念して、日本を代表するメディア芸術100作品を選ぶためのWebアンケートをやっています。こちら→「日本のメディア芸術100選」

マンガ部門アンケート(→リンク)は、マンガの中から「日本を代表するメディア芸術作品である」と思うものを10点まで挙げてください(必須項目)。となっており、サンプルのリストがありますが、このリストに入っていない作品でも3作品までは選べるスタイルになっています。逆に言えば7作品はリストから選ばざるを得ないわけですが、私は10作品に絞ることのほうがはるかに大変でした。リストに入っていない3作品を選んだあとで、リストの10作品と合わせて13作品であることに気づいて、苦肉の策で手塚治虫と白土三平を外すという暴挙、最後まで悩んだ揚げ句松本大洋も外しました。90年代以降で選んでいた作品が全部選外の憂き目に遭って、この選択でいいのだろうかと悩んだのですが、古い作品のほうが外しにくいんです。つげと萩尾望都を外すのは作品数が充実していてリストに入っていない傑作が選びたくて結局できませんでした。

私の選んだ10作はこの続きで。

続きを読む "文化庁メディア芸術祭10周年企画の「日本のメディア芸術100選」アンケートからマンガ10作を選ぶ"

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2006年8月14日 (月)

少女まんが雑誌が動いています

トラックバックスパムが止まってくれないので試みに受け付けないようにしています(と思ったら初期設定の変更ではすでに書いた記事には反映されないのですか)。
これまでのエントリですが、今年に入ってから、女の子向け漫画に関して戦前から昭和30年代の前半にかけて思いがけない発見が続いて、それはイレギュラーな面もあるでしょうが私の予想していたものをまったく超えるものといえました。

松本かつぢの戦前の初期作品が手塚治虫に決して劣らないダイナミックな構図を全面的に採り入れていたり、高橋真琴の復刻された「さくら並木」が卓球を題材にスポーツ漫画としても十分なレベルにあったことなどは私自身全く予想もしていなかった出来事で、スポーツ漫画といえば手塚治虫が強くライバル意識を燃やした福井英一氏の「イガグリくん」があるので、「さくら並木」が描かれた頃の少年マンガにおけるスポーツものがどのようなものかが今の私にはよくわかりませんが、忘れられているマンガ史を見直してみる余地がまだまだあると感じられました。

その一方で、私は雑誌のマンガ読みで単行本はよほど気に入らないと買わないですませていたのが、ここ数年読む余裕を失っていきました。読みたかった長編をまとめ買いするほうにシフトし(ほとんど少女まんがではない)、明らかにここ数年の新しい波がメインストリームになり、90年代のテクノムーブメントに乗り切れなかった時と同じような感覚があります(つまり<ポストロック>を聴くようになった)。
最近は雑誌を購入はしてもほとんど読まないも同然でストーリーをたどっていなかったりしていたのですが、ただNANAの映画が大ヒットしたあたりからでしょうか、少女まんが雑誌の動向に何やら動きがあるような感触があって最近気になってきました。「ハチミツとクローバー」と「ラブ★コン」を同時期に実写映画化し、「ハチクロ」は大々的なキャンペーンだったのでコーラスで久々にきちんと読んだら連載終了するし、フラワーズが創刊された時は廃刊になるんじゃないかと噂されていた別コミも見事に世代替わりを成功させて、今展開しているアニメとのメディアミックスもきちんと計算された形で進みそうだし、10代から40代までの読者の広がりを持つような作品に大きな変化が見られます。というわけで久々に今後の動向に興味が湧いてきました。なかなか読む時間が無いんですが久々にバックナンバーの積ん読をまとめ読みしてみたほうがいいのかも(どうでもいい話ですが私個人的には偉大なる花本姉妹のお風呂シーンもそろそろ見納めでしょうか)

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