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2006年5月15日 (月)

松本かつぢ展へ行く

昨日の14日日曜日に弥生美術館で松本かつぢ展を見てきました。
2時からギャラリートークがあり、告知ではもしかするとお弟子さんの鈴木悦郎、田村セツコ両先生が来られるかもしれないということで、また近くにちょうど閉館を迎えて最終日の交通博物館も近いので、今ひとつ体調が良くなかったもののやはりこの機会を逃してはいけないんじゃないかと思って都心まで出ることに。
出かけるのにぐずぐずしていた乗り継ぎでぎりぎりなのでお茶の水でタクシーに乗って5分前に東大の弥生門に到着(乗った直後に東大構内行きバスがタクシーを追い抜いていってこれだと十分に間に合ったはずなので呆然としましたが)。

弥生美術館はその向かいの目と鼻の先にあるのですがすでに人だかりで、中にはいるといきなり上田トシコ先生が玄関先の椅子に座っていらっしゃってびっくりしました。そばには夏目房之介さんがいて、「あっぱれな人々」で上田さんへのインタビューをして惚れ込んでしまったと書いていたのは覚えていましたが、上田さんは来ないのだと思っていたので予想外でした。かつぢ先生のご子息もいらっしゃって、出版関係者なども来ていたようで(最近塗り絵の本が流行していますがそういう話が耳に入ってきました)、うわーなんかすごいところに来ちゃった、などと思っていると会場の中でもほとんど別格のように可愛らしいにこにこした女性がいらっしゃるのを見つけて、髪型もファッションもイラストから出てきたようにそっくりでしかもそれが見事に似合っているのが感動的でしたが、これはもう田村セツコ先生に間違いありません。

夏目さんの側に若い女性の少女マンガ研究者として活躍されているMさんがいらして、関西の方なのですがちょうど用事があって来られたとのことで、私のことを覚えている方がいたのは雰囲気に飲まれていた私にとっては大変ありがたいことでした。

かつぢの展示は以前昭和ロマン館に常設されていたのですがそれほど大きな規模ではなく(昭和ロマン館でもベビー用品の展示はされていました)、その後ギャ ラリー松本かつぢが開館してそちらにはまだ足を運んでいなかったので、今回の展示は回顧展としては2回目にあたるとのことでしたが、一階の展示室は部屋の 両側を抒情画コーナーとマンガ、童画コーナーに分けてかつぢという作家の多才ぶりを見比べてもらおうという趣向でした。

特に今回画期的だったのは、くるく るクルミちゃんがかつぢの代表作として有名ですが、もっと早い頃から抒情漫画と名付けてマンガを描いていたことが明らかになってきて、その分マンガにウェ イトが置かれたこと、そしてなにせ戦前少女の友の読者の女学生の間ではは淳一派とかつぢ派に二分されたほど人気があったというスターですから、ばりばりの 抒情画家と思われがちですが、夢二や淳一とはかなり違うタイプであるらしいということがわかったことです。あすなひろしのような無頼までは行かないもの の、磊落、つまり気っぷの良い性格で、新しもの好きな面もたぶんあったのでしょう、

戦前ディズニーアニメが人気になるとその作風を取り入れるのも早く、ク ルミちゃんがキャラクターグッズとしても本格的に成功してしかもたいへん長寿な人気を誇るキャラクターになったこともあって、昭和30年頃に抒情画家引退を 宣言してからも、童画家としての仕事を続けたように、画家としての序列などにはこだわらない、まれに見る器の広い画家であったことがうかがえました。

二階の展示室ではこの日お見えになったお弟子さんの作品も展示され、上田先生の戦前の漫画も展示されていました。田村先生は昭和30年代から少女雑誌を席 巻する抜群の人気を誇っていて、イラストレーターという言葉がなかった頃からイラストレーターとしか言いようのない画期的な絵柄で一世を風靡しましたが、 かつぢ自身が戦前の画家としてはまさに画期的な絵柄でマンガを描いていたことを考えると、淳一のお弟子さんの内藤ルネ先生もそれまでにない画期的な絵柄で 登場しましたが、男女差も多少あると思われるものの、師弟の間で受け継がれたものが絵柄の違いとしても出ているような感じがしました。

私が弥生美術館に初めて行ったのはもう20年近くなるのでしょうか、開館してわりとすぐの頃で、上田先生の原画を展示していたのですが、これがほれぼれするようなきれいな原稿で、線も流れ るようだしフイチンさんの手足の長いのがとてもモダンな感じがして、高野文子が上田調をとりいれたのは気づいていたのでそれ以来ファンだったのですが、ア ジアMANGAサミットでとてもお元気なのにびっくりして、しかも現役で描いているのを知ってさらに驚いたのですが、今回は間近にご本人がいらっしゃっ て、ギャラリートークでも長谷川町子先生の話も含めた思い出話をしていただきましたが、話も聞いていてとっても面白く本当に感動しました。

この展示に合わせて出された本 を前のエントリに紹介していますがそこにも談話が載っていて、これがたいへん興味深いものですが、まだ話題がかなり残っているので今日はいったんこれまでにして、前編として一休みとしたいと思います。

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コメント

はじめまして、*ハンドメイドなひととき*のRENEと申します。
私も、昨日弥生美術館に行ってきました。
どの作品も素敵で、今日も「らんぷの本」で余韻を楽しんでいます。
特にクルミちゃんが愛くるしくて、癒されます。
今日のブログに載せる記事の参考にと、ネットサーフィンしている内にこちらに辿り着きました。
先月から始めたばかりの拙いブログですが、トラックバックさせて頂きますので、よろしくお願いします。

投稿: RENE | 2006年6月18日 (日) 18時37分

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