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2006年3月31日 (金)

IT系の雑誌の休刊が続く(おまけ:「子供の科学」はすごいぞ)

ここではマンガ専門の話題に集中しようと思っていたのですが、時々イレギュラーな話題が入ってきます。
私はソフトウェア関係の仕事が本業ですが、ここ最近ASAHIパソコン、JavaPress、Internet Magazineと続けて休刊になりました。

 

JAVA PRESS Vol.47 Book JAVA PRESS Vol.47

販売元:技術評論社
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Java Pressは隔月刊で1700円もするのですが技術者向けの記事は充実していました。創刊から8年、特に休刊とはっきり書かれてないようですが、不定期刊になるのでしょうか。

 

JAVA PRESS 特別総集編 Book JAVA PRESS 特別総集編

販売元:技術評論社
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総集編がPDFに収められたようなので、昔買ったバックナンバーとかはろくに読まなかったけどもうオークションなんかでは売れないかしら。収録されていない記事もあるようですが、この手の本は古本でも引き取ってくれないのですね。でも90年代初めの頃より前のソフトウェア工学の本は復刊したりしています。Javaが生まれて今年で十年、歴史をたどってみるのは面白い気もしますけれど。

そしてInternet Magazineですが、まだ最終号の写真が載っていませんね。

(載ったので差し替えました)

INTERNET magazine (インターネットマガジン) 2006年 05月号 [雑誌] Book INTERNET magazine (インターネットマガジン) 2006年 05月号 [雑誌]

販売元:インプレスコミュニケーションズ
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こちらは創刊から12年経っており、かつてはプロバイダ選びのためによく購入しておりましたが、誌面の内容もずいぶん変わりました。最近はギガバイト単位でのホスティングも当たり前になってきて時代の流れを感じます。
特集はGoogleサービスの徹底解剖。ココログを使っている人はYahooを使っていてもGoogleを知らない人も結構多いのではないでしょうか(私の職場でもGoogle使ってない人は結構います)。いまやただの検索エンジンからえっこんな機能があるの?と驚くこと請け合いです。巻頭インタビューは元マイクロソフト日本法人社長の古川亨さん。今のマイクロソフトは技術動向を補足し切れていないことや、AppleのiPodの成功の本質が、音楽を聴くという文化を徹底的に掘り下げて理解して、マスターカードに匹敵するような課金と認証のシステムを作り上げ、クレジットカード会社もできなかった新しい社会インフラを作り上げたからだということを喝破していまして(それにしても日本のメディア産業の上層部は文化というものががわからないんじゃないですかね)、Google特集と合わせて必読といえましょう。

この二つの例は、インターネットが普及したことによって月刊、隔月誌という形態のメリットが感じられなくなってきたという出版社側の思惑の表れのようにも思います。最近は無料でも会員制のWebサイトが続々創設されており、マス向けではなくて読者の情報登録を用いて細かく密接にマーケティングしていこうということなのかもしれません。インターネットで儲けるには認証の仕組みは必須です。まだ一般的には不安も多いでしょうが、ソフトウェアやパソコン関係の受け手は積極的に参加していくようになるでしょうね。

ITのイメージというとライブドア事件でなんか魑魅魍魎うずまく世界のように思われる方もいるのかもしれませんが、ここ1,2年で新しい動きが出てきました。もっと生活も仕事も豊かにしよう、という意識改革がはじまっています。そこでJava Pressの版元が最近仕事術のムックを出しています。

 

Life Hacks PRESS ~デジタル世代の「カイゼン」術~ Book Life Hacks PRESS ~デジタル世代の「カイゼン」術~

著者:田口 元,安藤 幸央,平林 純,角 征典,和田 卓人,金子 順,角谷 信太郎
販売元:技術評論社
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この本ですが、コンピュータ業界だけを対象としたものではなくて、どんな仕事をしている人であっても、仕事を楽しくしながらもっとクリエイティブに、そして質を高めようという方法論やツールの紹介をしています。ここでの一番大きな発想の転換は、デジタルツールなんかを使いこなせないよりも、文房具の使い方と手を使って書くことのほうがいいことがたくさんある、ということで、最近流行の手帳術にも通じるところがあり、よって誰にもお勧めできるものです。その一方で、Googleの全サービス活用法や、ブログ、RSSリーダなど「使える」デジタルツールの紹介もされていますので、自宅にパソコンがあってなにかクリエイティブに使いたい、というような方にもお勧めします。なおGoogleの活用編についてはInternet Magazineのほうがずっと見やすくてグッドです。

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2006年3月20日 (月)

少女マンガを含む貸本マンガ史の本がでた

昨年からマンガ研究の力作が続々と出ています。商魂たくましい便乗本みたいな本も出ていますけど、貸本漫画の研究書として画期的な本が出ました。
これまでは戦争漫画を扱った本も出していた梶井純さんや、「マンガ産業論」の中野晴行さん等が出していたのですが、貸本にしぼった本でも少女まんが系でまとまったものがほとんどありませんでした。しかし今度出た本はそこが充実しているのです。

 

貸本マンガRETURNS Book 貸本マンガRETURNS

著者:貸本マンガ史研究会
販売元:ポプラ社
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この本の紹介については宮本大人さんが詳しく書かれていますので、トラックバックしておきます。あ、トラックバックだけではリンク先出ないんでしたっけ。こちらです。

http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20060318

少女まんがだと、主なところでわたなべまさこ、若木書房のひまわりブックとむれあきこ、高橋真琴、巴里夫、新城さちこと矢代まさこなどをちゃんとおさえています。まあ昔は貸本経験のない少女まんが家のほうが珍しいのですが(ところで前にあすなひろしの紹介の時に水野英子が「漫画少年」投稿出身で「少女クラブ」でデビューしたということをうっかり忘れていました)。あと貸本研究らしいアプローチは実物を見てのお楽しみ。
あと、ポプラ社って少女マンガの本やマンガの雑誌を出してませんでしたっけ?

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2006年3月 6日 (月)

Coccoひさびさの新譜

90年代の終わりに登場してそのアグレッシブな強烈な存在感でJ-Pop界に衝撃をもたらし一世を風靡した女性シンガーCoccoが、Singer Songerとしての活動以後久々に新譜を出していました。私は発売されて一週間くらいしてからたまたま新聞記事で気づいて、あわてて買いにいきましたが、初回限定盤が出ていてあっさり手に入り、まだ意外と知れ渡っていない感じです。活動停止以後絵本を書いたりマイペースで健在を知らせていて昨年にはくるりの岸田繁氏などと組んだSinger SongerでCDを出していましたが、活動停止宣言から久しぶりにDr.Strangeloveの根岸孝旨とのコンビで復活したもようです。
初回限定盤はビデオクリップのDVDがおまけについていました。

 

音速パンチ (初回限定盤DVD付) Music 音速パンチ (初回限定盤DVD付)

アーティスト:Cocco
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006/02/22
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あすなひろしの「嵐が丘」がオンデマンド出版で登場

ずいぶん間があいてしまいましたが、久々に伝説の作品を紹介できることになりました。

みなさんは、あすなひろしという漫画家をご存知でしょうか。1959年(昭和34年)というまだマーガレットやフレンドが創刊される前に月刊少女クラブ(講談社)と少女ブック(集英社)でほぼ同時デビューして(たぶん少女クラブのほうが先ということになっています)、貸本時代を経ずに雑誌でいきなりデビューしたと思われるマンガ家としてはまだきちんと調べがついていないものの最も早い作家ではないかと思われます(持ち込み?)。最初から少年マンガには目もくれず少女まんがを明確に志向していたことは確かで、水野英子のような壮大で華麗な作風はデビュー当時の貸本では望めなかったでしょう。

マーガレットを経てハイティーン向けの「女学生の友」(小学館)や「小説ジュニア」(集英社)などに流麗な絵柄で叙情的な作品を多数書き、70年代になると少年ジャンプに短編を描いたあと、少年チャンピオンが「ドカベン」、「ブラックジャック」、「がきデカ」をはじめとする強力なラインナップで少年マガジンの劇画時代以後に一時代を画した時期があるのですが、その中で「青い空が、白い雲をかけてった」という不定期シリーズ連載を載せて、当時の劇画のGペンで描いた荒々しい線とはまったく異質な、端麗な描線と誰も真似できないような緻密でグラデーションも自在なカケアミと、背景を時には緻密に描き時には大胆に省略するという独特の空間構成で、一部の少年読者に多大な衝撃を与えました。

そのときの私を含めた少年読者の多くは少女まんが家としても活躍し続けていたことを知らなくて、朝日ソノラマから出たコミックスで少女雑誌や青年誌にも描いていることを知った私は驚いたものです。

男性の少女まんが家としては第一人者であったちばてつやが70年代初めに少女マンガから離れると、男性作家の少女まんがからの撤退は決定的になって、やはり少女向け恐怖まんがの巨匠であった楳図かずおの傑作「洗礼」や、手塚治虫が久々に少女マンガを手がけた「虹のプレリュード」の連載を例外として、70年代の後半まで一流クラスで少女まんが家を続けていたのはあすなひろし以外に私の知る限りではほとんど見当たらず、70年代になってから少女向け作品を描いた吾妻ひでおとあだち充をこれに合わせて、高橋留美子の登場による一大転換期の先がけとして80年代以降の少年マンガに少女マンガのテイストを持ち込んだ3人を、私は「3あ」と名づけたいと思います。

そのあすなひろしが卓越した画力をもって少女マンガファンを魅了していたのは60年代末頃がピークで、「嵐が丘」はその中でも最も名高い作品のひとつとして伝説となっています。60年代のまんがは原稿が行方不明のものが多く、状態の良い掲載誌をお貸ししてくれた方のご好意により、ついに「嵐が丘」のオンデマンド出版が実現したのでした。

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